Webサイトの表記ルールの作り方|表記ゆれをAIと人で防ぐ方法
「お問い合わせ」と「お問合せ」、半角と全角の数字など、表記ゆれはサイトの印象を損ねます。決めておくべき表記ルールの項目、ルール表のひな形、AIを使った表記チェックの方法を解説します。
サイトを見ていて、あるページでは「お問い合わせ」、別のページでは「お問合せ」と書かれている。数字が半角だったり全角だったりする。こうした表記ゆれ(同じ言葉や記号の書き方がそろっていないこと)は、一つひとつは小さな違いですが、積み重なると「細部まで気を配っていない会社」という印象を与えかねません。
AIで原稿を作るようになると、表記ゆれはさらに起きやすくなります。AIは頼むたびに少しずつ違う書き方をするうえ、複数の人がそれぞれAIを使えば、ばらつきは大きくなるからです。だからこそ、表記のルールを決めて、AIと人の両方に守らせる仕組みが必要です。
この記事では、Webサイトで決めておきたい表記ルールの項目と、ルール表の作り方、AIを使った表記チェックの方法を解説します。文章の雰囲気や用語の使い分けについては、トーン&マナーと用語集の記事で扱っています。
表記ルールで決めておきたい項目
表記ルールは、すべてを網羅しようとすると膨大になります。まずは、サイトで頻繁に出てくる次の項目から決めましょう。
1. 漢字とひらがなの使い分け
「下さい/ください」「出来る/できる」「事/こと」など、漢字で書くかひらがなで書くかが分かれる言葉です。一般的に、補助的な使い方をする言葉はひらがなにすると読みやすくなるとされています。例えば「資料をご覧ください」の「ください」、「対応することができます」の「こと」「できる」などです。
2. 送り仮名
「申し込み/申込み/申込」「問い合わせ/問合せ」など、送り仮名の付け方です。特にボタンやメニューの文言は目立つため、優先して統一します。
3. 数字と単位
半角数字か全角数字か、3桁ごとのカンマを入れるか、「1万円」と「10,000円」のどちらで書くか、日付や時刻の書き方(例:2026年4月1日、10:00〜18:00)などを決めます。Webサイトでは、横書きの数字は半角にそろえることが多いでしょう。
4. 英字とカタカナ語
英字を半角にするか、「Web/ウェブ」「E-mail/メール」のようにどちらで書くか、「サーバー/サーバ」のように語尾の長音を付けるかどうかを決めます。
5. 記号
かっこの種類(「」『』())、感嘆符や疑問符を使うか、箇条書きの文末に句点を付けるか、範囲を示す記号(〜、-)などを決めます。
表記ルール表の作り方
表記ルールは、次のような一覧表にしておくと、人もAIも参照しやすくなります。
| 分類 | 使う表記 | 使わない表記 | 補足 |
|---|---|---|---|
| 送り仮名 | お問い合わせ | お問合せ、お問合わせ | メニュー、ボタンも同じ |
| 漢字/ひらがな | ください | 下さい | 「〜してください」の場合 |
| 漢字/ひらがな | できる | 出来る | 可能の意味の場合 |
| 数字 | 10,000円 | 1万円、10000円 | 金額は半角数字、3桁区切り |
| カタカナ語 | サーバー | サーバ | 長音を付ける |
| 記号 | 10:00〜18:00 | 10時-18時 | 時刻の範囲 |
この表は一例です。どちらが正しいというより、社内で一つに決めることが大切です。新聞社や出版社が公開している用字用語の考え方、公用文の書き方に関する国の資料などを参考にする方法もありますが、自社サイトの読者にとって読みやすいかを基準に判断しましょう。
ルール表は、次の手順で作ると効率的です。
- 今のサイトの表記を集める:主要ページの文章をAIに渡し、「表記ゆれをすべて抜き出し、どの表記が何回使われているか一覧にしてください」と頼みます。
- どちらを採用するか決める:多く使われているほう、読者にとって読みやすいほうを基準に、一つを選びます。
- ルール表にまとめる:上の表の形式で、使う表記と使わない表記を書きます。
- 関係者と共有する:原稿を書く人、AIを使う人、外部の制作会社に依頼する場合は制作会社にも渡します。
AIを使った表記チェックの方法
ルール表ができたら、AIへの原稿依頼と、できあがった原稿の点検の両方に使います。
- 原稿を頼むとき:「添付の表記ルール表に従って書いてください。『使わない表記』は使わないでください」
- 原稿を点検するとき:「以下の原稿について、添付の表記ルール表に反している箇所をすべて抜き出し、該当箇所、ルール、修正案を表にしてください。ルール表にない表記ゆれも、別に指摘してください」
ただし、AIによる表記チェックは見落としがあり得ます。AIは長い文章の途中にある表記を見逃したり、文脈によってルールの当てはめを誤ったりすることがあります。特に「できる」のように、意味によってひらがなと漢字を使い分けるルールは、人が最終確認しましょう。
確実さを高めるには、AIの点検に加えて、テキストエディタや文書作成ソフトの検索・置換機能で「使わない表記」を検索するのが有効です。機械的に探せる表記は検索で、文脈の判断が必要なものはAIと人で、と役割を分けると見落としが減ります。なお、一括置換は意図しない箇所まで変わることがあるため、置換の前に該当箇所を一つずつ確認してください。
ルールを形骸化させない運用のコツ
表記ルールは、作っただけでは使われなくなりがちです。次の点を意識して運用しましょう。
- 最初は20〜30項目程度に絞り、迷ったときに追加していく
- ルール表の置き場所を一か所に決め、最新版がどれかわかるようにする
- 追加・変更した日付を記録する
- CMS(サイトの更新管理システム)で更新する人にも共有する
- 半年に一度など、サイト全体の表記ゆれを点検する時期を決める
また、ルールの「例外」も決めておくと迷いが減ります。例えば、商品名や他社のサービス名、法令名などの固有名詞は、自社ルールよりも正式な表記を優先します。お客様の声を引用する場合も、本人の言葉の雰囲気を残すため、意味が伝わる範囲であれば表記を無理に直さないという考え方もあります。例外の扱いをルール表の冒頭に一言書いておけば、AIへの指示にもそのまま使えます。
まとめ
表記ルールは、漢字とひらがな、送り仮名、数字と単位、英字とカタカナ語、記号の5つの分類から、サイトでよく使う言葉を中心に決めます。今のサイトの表記をAIで洗い出し、使う表記と使わない表記を一覧表にまとめ、AIへの依頼と点検、人による検索と最終確認に使いましょう。
まずは、自社サイトのメニューとボタンの文言だけを書き出し、表記ゆれがないかを確認してみてください。目立つ場所から統一することで、少ない手間でサイト全体の印象を整えられます。