AI原稿のファクトチェックと校正の手順|公開前に確認する項目リスト
AIが書いた原稿には、もっともらしい誤りが混ざることがあります。ファクトチェックと校正を分けて進める手順、確認すべき項目、AIを校正の補助に使うときの注意点を、チェックリスト付きで解説します。
AIが書いた原稿は、文法的に正しく、読みやすく整っています。そのため、つい「大丈夫そう」と読み流して公開してしまいがちです。しかし、AIは事実と異なる内容を、正しい内容と同じ自然さで書くことがあります。この現象はハルシネーション(AIが事実でない情報をもっともらしく生成すること)と呼ばれ、現在のAIでも完全には避けられないとされています。
会社のサイトに誤った情報が載ると、読者の信頼を損ねるだけでなく、問い合わせ対応の混乱や、取引上のトラブルにつながることもあります。AIで原稿を作るなら、公開前の確認を「なんとなく読む」から「手順に沿って確かめる」に変える必要があります。
この記事では、AI原稿のファクトチェック(事実確認)と校正(誤字脱字や表記の確認)を分けて進める手順と、確認項目のリストを紹介します。
ファクトチェックと校正は分けて行う
公開前の確認には、性質の違う2つの作業があります。
| 作業 | 確認すること | 主に担う人 |
|---|---|---|
| ファクトチェック | 書かれている内容が事実か、根拠があるか | 内容を知る担当者、原稿の責任者 |
| 校正 | 誤字脱字、表記ゆれ、文法、読みやすさ | Web担当者、編集担当 |
2つを同時に行うと、文章の細部に気を取られて事実の誤りを見落としたり、その逆が起きたりします。先にファクトチェックで内容を確定させ、そのあとで校正をするのが基本の順番です。内容を直すと文章も変わるため、校正を先にすると二度手間になります。
ファクトチェックの手順
ファクトチェックは、原稿の中から「確かめるべき箇所」を洗い出すところから始めます。
- 確認対象に印をつける:数字、日付、固有名詞、制度や法律の名前、実績、「〜と言われています」のような伝聞、比較や最上級の表現に印をつけます。
- 根拠を一つずつ探す:印をつけた箇所ごとに、社内資料、公的機関の公式情報、法令の原文など、一次情報(元の発信元の情報)を探します。
- 照合結果を記録する:確認日、確認した資料、結果(一致、修正、削除)を簡単な表に残します。
- 根拠が見つからない箇所を処理する:根拠が見つからなければ、修正するか削除します。「たぶん合っている」で残さないことが大切です。
- 担当者の確認を取る:サービス内容や条件に関わる記載は、その業務の担当者に最終確認してもらいます。
特に誤りが起きやすい箇所
AI原稿で誤りが起きやすいのは、次のような箇所です。重点的に確認しましょう。
- 統計や調査結果の数字(存在しない調査が引用されていることがある)
- 法律や制度の名称、施行時期、適用条件
- 他社のサービス名や機能、料金
- 自社の設立年、従業員数、拠点、取扱商品
- 人物の肩書きや発言の引用
- 「日本初」「業界最大」などの比較・最上級の表現
AIに「出典も示して」と頼むと出典らしきものを挙げてくれますが、その出典自体が実在しない、または内容が違うこともあります。示された出典は必ず自分で開いて、該当する記述があるかを確認してください。法律や制度に関わる記載は、確かな範囲にとどめ、個別の判断が必要な場合は専門家に確認しましょう。
校正の手順
内容が確定したら、校正に移ります。画面で読むだけでなく、次の方法を組み合わせると見落としが減ります。
- 声に出して読む(読みにくい箇所やリズムの悪い箇所に気づきやすい)
- 時間をおいてから読む
- 表示する環境を変える(スマートフォンで確認する、印刷するなど)
- 書いた人とは別の人が読む
校正のチェック項目
- 誤字脱字、変換ミスがないか
- 表記ゆれがないか(例:「お問い合わせ」と「お問合せ」の混在)
- 主語と述語が対応しているか
- 一文が長すぎないか(目安として60字前後を超えたら分割を検討)
- 同じ語尾が続いていないか
- 見出しと本文の内容が一致しているか
- 社名、商品名、人名の表記が正式名称どおりか
AIを校正の補助に使うときの注意点
AIは、校正の補助としても役立ちます。例えば次のように頼むと、見落としの候補を挙げてくれます。
- 「以下の原稿について、誤字脱字、表記ゆれ、主語と述語のねじれ、意味が二通りに読める文を指摘してください。修正案も示してください。ただし、内容や主張は変えないでください」
- 「以下の原稿から、数字、固有名詞、法律や制度の名前、比較表現をすべて抜き出し、一覧にしてください。正しいかどうかの判断は不要です」
2つ目のように、ファクトチェックの対象を洗い出す作業をAIに任せるのは有効です。ただし、正しいかどうかの判断はAIに任せず、人が一次情報で確かめます。AIの指摘をすべて採用すると、元の意図と違う文章になることもあるため、修正案は一つずつ判断して取り入れましょう。
確認の記録と体制づくり
ファクトチェックは、やったかどうかが後から見えにくい作業です。担当者の記憶に頼ると、異動や退職で「この数字は何を根拠に書いたのか」が誰にもわからなくなります。原稿ごとに、次のような確認記録を残しておくと安心です。
| 確認箇所 | 根拠資料 | 結果 | 確認者・日付 |
|---|---|---|---|
| 設立年 | 登記事項の写し | 一致 | 総務担当・確認日 |
| 対応エリア | 営業部の最新資料 | 一部修正 | 営業担当・確認日 |
| 「業界トップクラス」 | 該当する根拠なし | 削除 | Web担当・確認日 |
また、確認の役割を事前に決めておくことも大切です。例えば、Web担当者が確認対象の洗い出しと校正を担い、サービスや条件に関する事実確認は各部署の担当者が、最終的な公開判断は部門の責任者が行う、といった分担です。小さな会社で一人が兼ねる場合でも、ファクトチェックと校正を別の日に行うだけで、見落としは減らせます。
公開後も確認は終わりではありません。料金、制度、担当者名など変わりやすい情報を含むページは、半年に一度など見直しの時期を決め、確認記録に次回の見直し予定日を書いておくと、情報が古くなるのを防げます。
まとめ
AI原稿の公開前確認は、内容の正しさを確かめるファクトチェックと、文章の誤りを直す校正に分け、ファクトチェックを先に行います。数字、固有名詞、制度、比較表現などに印をつけ、一次情報で根拠を確かめ、根拠のない記載は修正か削除する。この流れを習慣にすることが、AIを使ったサイト運営の土台になります。
まずは、確認日・確認箇所・根拠資料・結果の4列だけの簡単な確認表を作り、次に公開する1本の原稿で試してみてください。一度やってみると、自社の原稿でどこに誤りが出やすいかが見えてきます。