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コンテンツ・原稿更新 2026.10.22読了 6分

AI翻訳でサイトを多言語化する手順|翻訳チェックで見るべきポイント

AI翻訳を使えば、サイトの多言語化は以前より手軽になりました。一方で、誤訳や不自然な表現がそのまま公開されるリスクもあります。翻訳前の準備、AIへの頼み方、チェックの観点と体制を解説します。

海外からの問い合わせや、日本で働く外国人材の採用、訪日客への案内など、サイトを英語や他の言語でも提供したいという要望は増えています。以前は翻訳会社に依頼するのが一般的でしたが、今はAIを使えば、日本語の原稿から短時間で各言語の文章を作ることができます。

ただし、AI翻訳には、意味が微妙にずれる、専門用語の訳がページごとに変わる、文化的に不自然な表現になる、といった問題がつきものです。日本語がわからない読者は誤りに気づけないまま読むため、誤訳は日本語のミス以上に信頼を損ねることがあります。

この記事では、AI翻訳を使ってサイトを多言語化するときの手順と、翻訳チェックで確認すべきポイントを解説します。サイトの技術的な設定(言語ごとのURLの設計など)は扱わず、原稿づくりに絞ってお伝えします。

多言語化の前に決めること

いきなり全ページを翻訳するのではなく、まず範囲と目的を決めます。

  • 対象言語:誰に読んでほしいのかから逆算して決めます。言語を増やすほど、更新と確認の手間も増えます。
  • 対象ページ:全ページを訳す必要はありません。会社概要、主要サービス、問い合わせ方法など、その言語の読者に必要なページに絞ると管理しやすくなります。
  • 問い合わせへの対応:その言語で問い合わせが来たときに、誰がどう対応するかを決めておきます。対応できない言語でページを用意すると、読者を失望させてしまいます。
  • 更新の方針:日本語ページを更新したとき、翻訳ページをいつまでに更新するかを決めます。

翻訳しやすい日本語原稿に整える

AI翻訳の質は、元の日本語原稿の質に大きく左右されます。翻訳の前に、次の点を整えておきましょう。

  • 主語を明確にする(日本語は主語を省略しがちで、誤訳の原因になります)
  • 一文を短くする(目安として一文一意、長い文は分割する)
  • あいまいな表現を減らす(「〜など」「〜的な」「前向きに検討」など)
  • 社内用語や業界の略語を、正式な言葉に置き換えるか説明を添える
  • 日本独自の制度や慣習には、補足説明を加える

この下ごしらえ自体も、AIに手伝ってもらえます。

  • 「以下の日本語原稿を、英語に翻訳しやすい形に書き直してください。主語を補い、一文を短くし、あいまいな表現を具体的にしてください。意味は変えないでください。書き直した箇所には印をつけてください」

AIに翻訳を頼む手順

翻訳は、次の手順で進めると品質が安定します。

  1. 対訳の用語集を作る:社名、商品名、サービス名、部署名、業界用語の訳語を先に決めます。日本語の用語集がある場合は、それに訳語の列を追加します。
  2. 翻訳の条件を伝える:読者像、文体(丁寧さの度合い)、用語集を渡します。
  3. ページ単位で翻訳する:長すぎる文章を一度に渡さず、ページや見出し単位で頼みます。
  4. 逆翻訳で確認する:訳文を別の手順で日本語に戻し、元の意味とずれていないかを確かめます。
  5. その言語がわかる人が確認する:最終的には、その言語を読める人に自然さと正確さを確認してもらいます。

翻訳を頼むときの指示例は次のとおりです。

  • 「以下の日本語を、海外の取引先候補となる企業の購買担当者向けに、丁寧なビジネス英語に翻訳してください。添付の対訳用語集の訳語を必ず使ってください。直訳で不自然になる箇所は自然な表現にしてかまいませんが、意味を加えたり省いたりしないでください。訳し方に迷った箇所は、訳文の後に理由とともに列挙してください」

「迷った箇所を列挙して」と頼むと、確認すべき箇所の候補がわかり、チェックの効率が上がります。

翻訳チェックの観点

翻訳チェックは、次の観点で行います。

観点 確認すること 確認方法の例
正確さ 意味のずれ、訳抜け、付け足しがないか 原文と訳文を一文ずつ並べて照合、逆翻訳
一貫性 用語の訳がページ間でそろっているか 対訳用語集の訳語で検索
数字・単位・日付 金額、数量、日付の書き方が正しいか 原文と数字だけを照合
自然さ その言語の読者にとって不自然でないか その言語を読める人の確認
文化的な配慮 誤解や不快感を与える表現がないか その言語圏の事情に詳しい人の確認
表示 文字化け、ボタンからのはみ出し、改行の崩れがないか 実際の画面で確認

特に、料金、契約条件、保証、安全に関わる注意事項などは、誤訳がトラブルに直結します。こうした重要なページは、AI翻訳のあとに専門の翻訳者やネイティブスピーカーの確認を入れることを検討しましょう。すべてのページに同じ手間をかけるのが難しい場合は、ページの重要度に応じて確認の深さを変えるのが現実的です。

また、問い合わせフォームの項目名やエラーメッセージ、ボタンの文言など、本文以外の短い言葉は訳し忘れが起きやすい箇所です。公開前に、その言語の画面を最初から最後まで実際に操作して確認してください。

公開後の更新で起きやすい問題と対策

多言語化で見落とされがちなのが、公開後の運用です。日本語ページは更新したのに翻訳ページは古いまま、という状態は珍しくありません。例えば、日本語ページでは料金や営業時間を改定したのに、英語ページには旧情報が残っていると、問い合わせ時の行き違いにつながります。

こうした問題を防ぐために、次のような仕組みを用意しておきましょう。

  • 日本語ページと各言語ページの対応表を作り、ページごとの最終更新日を記録する
  • 日本語ページを更新するときの作業手順に「翻訳ページの更新」を組み込む
  • 差分だけを翻訳するときは、更新前後の日本語をAIに渡し、変わった箇所だけを訳してもらう
  • 変わりやすい情報(料金、日時、担当者名など)は、翻訳ページに載せる量を必要最小限にする

翻訳ページの数が増えるほど、更新の負担も大きくなります。最初から言語やページを広げすぎず、運用できる範囲で始めることが、結果的に信頼できる多言語サイトにつながります。

まとめ

AI翻訳でサイトを多言語化するときは、対象言語とページ、問い合わせ対応、更新方針を先に決め、翻訳しやすい日本語原稿に整えてから翻訳します。対訳用語集を用意して訳語をそろえ、逆翻訳と、その言語を読める人の確認で正確さと自然さを確かめましょう。料金や条件に関わるページは、特に慎重な確認が必要です。

まずは、多言語化したいページを一覧にし、それぞれ「誤訳があった場合の影響の大きさ」を高・中・低で分けてみてください。そのうえで、社名や商品名など10語程度の対訳用語集を作るところから始めると、翻訳作業をスムーズに進められます。

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