WebサイトのKPIの決め方|KGIから逆算して追う数字を絞る手順
アクセス数を見ているだけでは、サイトが事業に役立っているか判断できません。KGIから逆算してKPIを決める手順と、中小企業のサイト目的別の指標例と運用のコツを紹介します。
サイトの数字を毎月見ているのに、何をすればよいか決まらない。会議で「アクセスが増えました」「減りました」と報告して終わってしまう。こうした状況の多くは、追うべき数字が決まっていないことが原因です。
サイトの運用では、事業の目標から逆算して「このサイトで何を達成するか」を数字で決めておく必要があります。その数字がKGIとKPIです。
この記事では、KGIとKPIの違い、サイトの目的別の指標例、KPIを決める具体的な手順、決めた後の運用方法を解説します。GA4の画面操作やレポート作成は別の記事で扱うため、ここでは「何を追うか」を決めることに集中します。
KGIとKPIの違いを押さえる
まず言葉を整理します。
- KGI(重要目標達成指標):最終的に達成したいゴールの数字です。例えば「Web経由の受注件数」「Web経由の採用人数」などです。
- KPI(重要業績評価指標):KGIを達成するための途中経過を測る数字です。例えば「問い合わせ件数」「資料請求数」「応募ページの閲覧数」などです。
KGIは売上や受注のように事業に直結しますが、サイトだけでは動かせない要素も含みます。KPIは、サイトの改善で直接動かせる数字を選ぶのがポイントです。
サイトの目的別に見るKGI・KPIの例
中小企業のサイトでよくある目的ごとに、指標の例をまとめました。自社に近いものを参考にしてください。
| サイトの目的 | KGIの例 | KPIの例 |
|---|---|---|
| BtoBの見込み客獲得 | Web経由の受注件数 | 問い合わせ件数、資料ダウンロード数、サービスページの閲覧数 |
| 店舗への集客 | Web経由の来店・予約数 | 予約フォーム送信数、電話ボタンのクリック数、アクセスページの閲覧数 |
| 採用 | Web経由の採用人数 | 応募数、募集要項ページの閲覧数、社員紹介ページの閲覧数 |
| EC(ネット販売) | 売上金額 | 購入件数、カート投入数、購入率 |
| ブランド認知 | 指名での問い合わせ・相談件数 | 社名での検索からの訪問数、記事の読了率 |
ブランド認知のように成果が見えにくい目的でも、「最終的に何が起きてほしいか」を言葉にすれば、測れる数字が見つかります。
KPIを決める5つの手順
- 事業目標を確認する:今期の売上目標や採用計画など、会社としての目標を経営者と確認します。
- サイトの役割を一文で書く:「サイトは新規顧客からの相談のきっかけを作る」のように、事業目標の中でのサイトの役割を言葉にします。
- KGIを1つに絞る:役割に対応する最終的な数字を1つ決めます。複数あると優先順位がぶれます。
- KGIを分解する:KGIに至るまでの流れを分解します。例えば「受注件数=問い合わせ件数×商談化率×受注率」のように掛け算で表します。
- サイトで動かせる要素をKPIにする:分解した要素のうち、サイトの改善で動かせるもの(多くは問い合わせ件数や、そこに至る閲覧数)をKPIに選びます。
手順4はAIに手伝ってもらうと考えやすくなります。例えば「当社はBtoBの部品加工業で、Webサイトの役割は新規取引先の相談獲得です。KGIをWeb経由の受注件数としたとき、どのような要素に分解できますか。サイトで改善できる要素がわかるように整理してください」と依頼すると、分解の叩き台が得られます。出てきた案は、実際の営業プロセスに合っているか営業担当と一緒に確認してください。
目標値の決め方
KPIが決まったら目標値を設定します。根拠のない数字を置くと、達成しても未達でも次の行動につながりません。次の考え方を組み合わせるのが目安です。
- 過去の実績から決める:直近の数か月の平均を基準に、改善でどの程度伸ばせそうかを考えます。
- KGIから逆算する:受注を月に何件増やしたいか決め、商談化率や受注率から必要な問い合わせ件数を計算します。
- 季節性を考慮する:業種によって繁忙期と閑散期があるため、前年同月と比べる視点も持ちます。
最初の目標値は仮のもので構いません。3か月ほど運用してみて、現実とのずれを見ながら修正していきましょう。
KPI設定でよくある失敗
アクセス数(PV)だけをKPIにする
PV(ページが表示された回数)は増えても、問い合わせにつながらない訪問ばかりなら事業への貢献は限られます。PVは補助的な指標として扱い、成果に近い数字を主役にしましょう。
KPIが多すぎる
10個も20個も指標を並べると、どれを優先すべきかわからなくなります。主要なKPIは2〜3個、補助指標を含めても5個程度に絞るのが目安です。
計測できない指標を選ぶ
「顧客満足度」のように、サイト上で計測する仕組みがない指標を選ぶと運用できません。計測方法までセットで決めてください。電話での問い合わせなど、サイト外で起きる成果は、問い合わせ時に「何を見て連絡したか」を聞くなどの工夫で補います。
KPIを運用するときのコツ
KPIは決めて終わりではなく、日々の判断に使ってこそ意味があります。運用の段階では次の点を意識してください。
- 数字の変化には必ず理由を添える:「問い合わせが増えた」だけでなく、「事例ページを追加した月から増えた」のように、施策や外部要因と結びつけて記録します。
- KPIとKGIのつながりを定期的に確かめる:問い合わせ件数は伸びたのに受注が増えない場合、問い合わせの質に課題があるかもしれません。営業部門と情報を共有し、必要ならKPIを見直します。
- 短期の上下に一喜一憂しない:アクセス数の少ないサイトでは、数件の差が大きな変化に見えます。数か月単位の傾向で判断するのが目安です。
KPIシートにまとめて共有する
決めた内容は1枚のシートにまとめ、関係者で共有します。最低限、次の項目を入れておきましょう。
- サイトの役割(一文)
- KGIと目標値
- KPIと目標値、計測方法
- 確認する頻度と担当者
- 見直しの時期(例:半年ごと)
シートの作成もAIに手伝ってもらえます。「以下のKGIとKPIをもとに、社内共有用のKPIシートの項目と記入例を作ってください」と依頼すれば、表の叩き台がすぐに作れます。ただし数値や計測方法は自社の実態に合わせて必ず人が書き換えてください。
このシートがあれば、月次の振り返りで「目標に対して今どこにいるか」を確認するだけで会議の焦点が定まります。
まとめ
WebサイトのKPIは、事業目標からKGIを決め、それを分解してサイトで動かせる数字を選ぶことで決まります。指標は少なく絞り、計測方法と目標値をセットにしておくことが大切です。
まずは経営者や営業担当と30分ほど時間を取り、「このサイトは何のためにあるのか」を一文で書くところから始めてください。そこが決まれば、追うべき数字は自然と見えてきます。