PHPのサポート切れとWordPress運用のリスク|更新できないときの選択肢
PHPは8.1以前がサポート終了、8.2も2026年末で終了します。古いPHPでWordPressを運用するリスクと、更新できないときの3つの選択肢(更新・保守委託・移行)の選び方を解説します。
サーバー会社から「PHPのバージョンを更新してください」という案内が届いた、制作会社に聞いたら「更新するとサイトが動かなくなるかもしれない」と言われた。WordPressで運用しているサイトでは、こうした状況がよく起こります。
PHP(WordPressを動かしているプログラム言語)は、バージョンごとにサポートの期限が決まっています。期限が切れたPHPを使い続けると、新たに見つかった脆弱性(セキュリティ上の弱点)が修正されないまま残ることになります。
この記事では、PHPのサポート期限の考え方と、古いPHPのまま運用するリスクを整理したうえで、更新できないときに取れる3つの選択肢(PHPの更新、保守の委託、PHPを使わない構成への移行)と、その選び方を解説します。
PHPのサポート期限とは
PHPの各バージョンには、不具合とセキュリティの修正が行われる「アクティブサポート」と、セキュリティの修正だけが行われる「セキュリティサポート」の期間があります。この期間が終わると、公式からの修正は提供されなくなります。
PHP公式サイトのサポート期限の表に基づくと、2026年10月時点の状況は次のとおりです。
| バージョン | 状況(2026年10月時点) | 対応の目安 |
|---|---|---|
| 8.1以前(7系を含む) | サポート終了 | 早急に更新または移行を検討する |
| 8.2 | セキュリティサポートは2026年12月31日まで | 年内に更新の計画を立てる |
| 8.3以降 | サポート期間中 | 各バージョンの期限を公式の表で確認する |
自社サイトのPHPのバージョンは、WordPressの管理画面の「ツール」→「サイトヘルス」の「情報」タブや、サーバー会社の管理画面で確認できます。わからない場合は、制作会社やサーバー会社に問い合わせてください。
2026年10月の脆弱性修正と、古いPHPのリスク
2026年10月21日、PHP公式は重大な脆弱性2件(CVE-2026-109618、CVE-2026-109619)を修正したバージョンとして、8.5.12、8.4.27、8.3.36、8.2.35を公開しました。CVEは、公開された脆弱性に付けられる共通の識別番号です。
ここで注目したいのは、修正版が出たのがサポート期間中のバージョンだけだという点です。8.1以前を使っているサイトには公式の修正が提供されず、弱点が残ったままになります。サポート期間中のバージョンを使っていても、修正版への更新を適用しなければ同じことです。なお、脆弱性の詳細や影響範囲はPHP公式の告知で確認し、自社サイトへの影響は制作会社やサーバー会社に確認してください。
古いPHPのまま運用すると、次のようなリスクが重なっていきます。
- セキュリティ:修正されない弱点を突かれ、改ざんや情報漏えいにつながるおそれがある
- 更新の停滞:新しいWordPress本体やプラグインが古いPHPに対応しなくなり、それらの更新もできなくなる
- サーバー側の都合:サーバー会社が古いバージョンの提供を終了し、ある日突然サイトが表示されなくなる可能性がある
- 改修費の増加:先延ばしするほど、まとめて直す範囲が広がり、費用がかさみやすい
更新できない主な理由
PHPを更新すべきだとわかっていても、すぐにできないことには理由があります。代表的なものは次のとおりです。
- テーマを独自に作り込んでいて、新しいPHPで動くか確認できていない
- 更新が止まったプラグインを使っており、新しいPHPでエラーになる
- 制作会社との契約が終わり、サイトの構成を把握している人がいない
- テスト環境がなく、本番でいきなり試すしかない
- WordPress本体も長く更新しておらず、一度に多くの更新が必要になる
どの理由に当てはまるかで、取るべき選択肢が変わります。
更新できないときの3つの選択肢
取れる選択肢は、大きく分けて次の3つです。どれが正解ということはなく、サイトの状態と今後の使い方で選びます。
| 選択肢 | 内容 | 向いているケース | 注意点 |
|---|---|---|---|
| PHPを更新する | テーマ・プラグインを新しいPHPに対応させ、バージョンを上げる | サイトの作りが標準的で、今後もWordPressで運用したい | テスト環境での動作確認と、必要に応じた改修が必要 |
| 保守を委託する | PHPの更新を含む保守を、継続して専門家に任せる | 社内に詳しい人がいないが、WordPressの使い勝手には満足している | 作業範囲と緊急時の対応を契約で明確にする |
| PHPを使わない構成へ移行する | ヘッドレスCMS(microCMSなど)と静的配信(AWSなど)の構成に作り直す | 改修範囲が大きく作り直しに近い、更新する内容の型が決まっている | 開発費と移行期間が必要。表示部分の保守は残る |
多くのサイトでは、まず「PHPを更新する」ことが現実的な選択です。WordPressは新しいPHPへの対応が進められており、標準的な作りのサイトであれば、テーマとプラグインを更新することで対応できる場合も少なくありません。移行は、改修の見積もりが作り直しに近い規模になる場合や、もともとリニューアルを予定していた場合に検討する価値があります。移行先のサービスの料金や機能は2026年時点の一般的な情報として捉え、最新は各社の公式情報を確認してください。
選び方の手順
次の順に進めると、判断に必要な材料がそろいます。
- 現状を確認する:PHPとWordPress本体のバージョン、使用中のプラグインとテーマの一覧を控えます。
- バックアップを取る:何をするにしても、まずファイルとデータベースの両方を保存します。
- テスト環境で新しいPHPを試す:本番と同じ内容のテスト環境で、PHPを上げたときにどこでエラーが出るかを確認します。
- 改修の範囲と費用を見積もる:エラーの箇所をもとに、制作会社に改修の見積もりを依頼します。
- 移行した場合と比較する:改修費が大きい場合は、移行の見積もりも取り、数年単位の総額と手間で比べます。
- 期限から逆算して日程を決める:8.2を使っている場合は、2026年12月31日のサポート終了までに対応できる日程を組みます。
状況の整理にはAIも使えます。例えば「当社のWordPressサイトの情報を以下に書きます。PHPを更新する前に確認すべき項目を、優先順位を付けて挙げてください」と依頼すると、確認漏れを減らせます。ただし、エラーの内容を貼り付けるときは、パスワードやサーバー情報が含まれていないかを確認し、作業そのものは専門家と相談しながら進めてください。
まとめ
PHPは8.1以前がすでにサポート終了、8.2も2026年12月31日で終了します。2026年10月の重大な脆弱性の修正もサポート期間中のバージョンにしか提供されておらず、古いPHPのまま運用し続けるリスクは小さくありません。選択肢は、PHPの更新、保守の委託、PHPを使わない構成への移行の3つで、多くの場合はまず更新を検討するのが現実的です。
まずは今日、WordPressのサイトヘルス画面で自社のPHPのバージョンを確認してください。8.2以前であれば、バックアップの状況とあわせて制作会社やサーバー会社に連絡し、年内の対応方針を相談しましょう。
PHPやプラグインの更新に、追われないサイトへ
WordPressをmicroCMS+AWSの構成へ移すと、公開サイトでPHPを動かす必要がなくなります。移行が向いているかどうかから、無料で診断します。