AI検索からの流入を計測する|参照元の見分け方と数字の限界
ChatGPTやPerplexityなどのAIサービス経由でサイトを訪れる人が出てきました。AI検索からの流入を参照元で把握する方法、見えない流入があるという限界、数字以外の手がかりを含めた評価の考え方を解説します。
AIに質問して、回答に添えられたリンクからWebサイトを訪れる、という行動が少しずつ広がっています。「自社サイトにも、AI経由の訪問者は来ているのだろうか」「AI検索への取り組みに効果があったのかを知りたい」と考える担当者の方も増えているでしょう。
AI検索からの流入は、アクセス解析ツールの参照元の情報から、ある程度は把握できます。ただし、すべてを正確に測れるわけではなく、仕組み上どうしても見えない部分があります。その限界を知らないまま数字だけを見ると、判断を誤るおそれがあります。
この記事では、AI検索からの流入を把握する方法、計測の限界、そして数字以外の手がかりも含めた評価の考え方を解説します。アクセス解析ツールの基本的な使い方は別の記事に譲り、ここではAI検索に関わる部分に絞って説明します。
AI検索からの流入はどう記録されるのか
訪問者がリンクをクリックしてサイトに来ると、多くの場合、どのサイトから来たかという情報(リファラー、参照元)がブラウザから送られます。Googleアナリティクス4(GA4)などのアクセス解析ツールは、この情報をもとに流入元を記録します。
AIサービスの画面上のリンクからの訪問であれば、そのAIサービスのドメインが参照元として記録されることがあります。代表的なものは次のとおりです。
| サービス | 参照元として記録されることがあるドメインの例 |
|---|---|
| ChatGPT | chatgpt.com |
| Perplexity | perplexity.ai |
| Gemini | gemini.google.com |
| Microsoft Copilot | copilot.microsoft.com |
| Claude | claude.ai |
ドメインはサービスの仕様変更によって変わることがあり、上の表は2026年時点の一般的な情報です。実際に自社のデータでどのような参照元が記録されているかを確認したうえで、計測の対象を決めてください。
計測の限界を理解する
AI検索からの流入を把握するうえで、次のような限界があります。
- 参照元が送られない場合がある:アプリからの訪問や、サービス側の設定によって参照元の情報が送られず、「直接」の訪問として記録されることがある
- GoogleのAI Overviewsは切り分けにくい:AI Overviewsのリンクからの訪問は、通常のGoogle検索からの訪問と同じように記録され、アクセス解析ツール上でもSearch Console上でも、基本的に区別できない
- リンクをクリックしない影響は測れない:AIの回答の中で自社名が紹介されても、クリックされなければ訪問としては記録されない
- 回答は変わりやすい:同じ質問でもAIの回答や引用元は毎回変わり得るため、一時的な増減に意味がないこともある
つまり、参照元で把握できるのは、AI経由の影響のうちの一部にすぎません。記録された数字は「少なくともこれだけはある」という下限の目安として扱うのが適切です。
AI経由の流入を確認する手順
GA4を使っている場合を例に、AI経由の流入を確認する手順の流れを紹介します。具体的な操作方法は画面の更新で変わることがあるため、公式のヘルプもあわせて確認してください。
- 参照元の一覧を確認する:集客に関するレポートで、セッションの参照元を一覧にし、AIサービスのドメインが含まれているかを確認します。
- 対象のドメインを決める:自社のデータに実際に現れているAIサービスのドメインを書き出します。
- まとめて見られるようにする:カスタムチャネルグループなどの機能を使い、対象のドメインを「AI検索」のようなひとまとまりとして集計できるようにします。
- ランディングページを確認する:AI経由の訪問者が最初に開いたページを確認し、どんな情報が参照されているのかを把握します。
- 成果との関係を見る:AI経由の訪問者が、問い合わせなどの成果にどの程度つながっているかを確認します。
手順3の設定には、ドメインをまとめて指定するための正規表現(文字列のパターンを表す書き方)を使うことがあります。AIに「次のドメインのいずれかに一致する正規表現を作成し、それぞれの部分の意味を説明してください」と依頼すると、作成の手助けになります。設定後は、実際のデータで意図どおりに分類されているかを必ず確認してください。
数字以外の手がかりを組み合わせる
計測の限界を補うために、数字以外の手がかりも組み合わせて評価しましょう。
- 問い合わせ時のアンケート:問い合わせフォームに「当社を何で知りましたか」という項目を設け、選択肢に「AIサービス(ChatGPTなど)」を加える
- 商談・電話での聞き取り:初回の打ち合わせで、どのように調べて自社にたどり着いたかを尋ねる
- 指名検索の推移:AIの回答で社名を知った人が、後から社名で検索している可能性がある。Search Consoleで社名やサービス名での表示回数の推移を見る
- AIの回答の定点観測:顧客がしそうな質問を決めて、主要なAIサービスで定期的に試し、自社がどう紹介されているかを記録する
定点観測の結果は、回答が変わりやすいため、増減を細かく評価するより、誤った情報が紹介されていないかを確認する目的で使うのがおすすめです。誤りが見つかった場合は、自社サイトの該当する情報が分かりやすく正確に書かれているかを見直しましょう。
社内で報告するときは、AI経由の訪問数だけを単独で示すのではなく、「参照元で確認できた訪問数」「問い合わせ時にAIで知ったと答えた件数」「指名検索の表示回数の推移」のように、性質の異なる手がかりを並べて示すと、過大評価や過小評価を避けやすくなります。あわせて、計測の限界があることを一言添えておくと、数字が少ないからといってすぐに取り組みをやめる、といった早すぎる判断を防げます。
まとめ
AI検索からの流入は、参照元のドメインからある程度把握できますが、参照元が送られない訪問や、AI Overviewsのように通常の検索と区別できない訪問、クリックされない紹介など、見えない部分が多くあります。記録された数字は下限の目安と考え、問い合わせ時の聞き取りや指名検索の推移など、複数の手がかりを組み合わせて判断しましょう。
まずは、アクセス解析ツールの参照元一覧を開き、AIサービスのドメインからの訪問がすでに記録されているかを確認してみてください。あわせて、問い合わせフォームに「何で知りましたか」の項目があるかを点検し、なければ追加を検討しましょう。