画像生成AIの使いどころと使わない方がよい場面|Web制作での判断基準
画像生成AIはWebサイト制作のどこで役立ち、どこで避けるべきなのでしょうか。用途ごとの向き不向きを表で整理し、デザイン工程での上手な使い方と、公開前の品質チェック手順を紹介します。
画像生成AIを使えば、文章で指示するだけで写真のような画像やイラストが数十秒で手に入ります。「サイトの画像はすべてAIで作れば、撮影費も素材代もかからないのでは」と考える方もいるかもしれません。
しかし実際には、画像生成AIが大きく役立つ場面と、使うとかえってサイトの信頼を損ねる場面がはっきり分かれます。使いどころを誤ると、「このサイト、なんだか嘘っぽい」という印象を与えてしまいます。
この記事では、Webサイト制作における画像生成AIの向き・不向きを用途ごとに整理し、使うと決めたときの確認手順を解説します。権利関係の詳しい考え方は別の記事で扱うため、ここでは「デザインとしての判断」に絞ってお伝えします。
画像生成AIが得意なこと・苦手なこと
まず、画像生成AIの特性を押さえておきましょう。画像生成AIは、大量の画像から学習したパターンをもとに、指示に合う「それらしい画像」を作る仕組みです。
- 得意なこと:雰囲気やイメージの表現、抽象的な背景、何パターンもの案を短時間で出すこと
- 苦手なこと:実在するものを正確に描くこと、細部の整合性(手の指、文字、製品の形状など)、同じ人物や物を一貫して描き続けること
この特性から、「実在しないものでよい場面」では強く、「実在するものを示す場面」では弱い、と覚えておくと判断しやすくなります。
もう一つ知っておきたいのは、画像生成AIは同じ指示でも毎回違う画像を返すという点です。たくさんの案を出せるのは長所ですが、サイト全体で色味やタッチをそろえるには、指示の書き方を固定したり、生成後に人が選別・調整したりする手間がかかります。「すぐに大量の画像がそろう」と期待しすぎず、選ぶ時間と手直しの時間を見込んでおきましょう。
用途別の向き・不向き
Webサイトでよく使う画像を、画像生成AIとの相性で整理すると次のようになります。
| 用途 | 相性 | 理由・注意点 |
|---|---|---|
| デザイン検討用のイメージ(ムードボード) | 向いている | 社内で方向性を共有するだけなら、正確さより雰囲気が大事 |
| 抽象的な背景・テクスチャ | 向いている | 実在性が問われず、文字の下地などに使いやすい |
| 記事のアイキャッチ(概念を表すもの) | 条件付きで向いている | 「業務効率化」などの概念表現なら有効。人物の不自然さに注意 |
| アイコン・挿絵のラフ | 条件付きで向いている | 案出しに使い、最終的にはタッチをそろえて仕上げる |
| 社員・代表者の写真 | 使わない | 実在しない人物を社員に見せると、信頼を大きく損ねる |
| 製品・商品の写真 | 使わない | 実物と違う形状や色は、誤解やトラブルの原因になる |
| 店舗・オフィス・施工実績の写真 | 使わない | 実績や現場を偽る表示になりかねない |
| お客様の声に添える人物写真 | 使わない | 実在の顧客と誤認させるおそれがある |
判断に迷ったら、「この画像を見た人が、これを実在するものだと受け取るか」を考えてください。受け取る可能性が高い場面では、画像生成AIは使わないのが基本です。表示内容が事実と異なると誤認を招くおそれがあるため、広告表示のルールとの関係が気になる場合は専門家に確認しましょう。
デザイン工程での上手な使い方
画像生成AIの価値は、完成品の素材としてよりも、デザインの検討を速くする道具として発揮されることが多いです。
方向性の共有に使う
「明るく開放的なオフィスの雰囲気」と言葉で伝えるより、AIで数パターンの画像を作って見せた方が、関係者の認識をそろえやすくなります。撮影前のイメージ共有にも使えます。
撮影やイラスト発注の指示書に使う
カメラマンやイラストレーターに依頼する際、「この構図、この光の雰囲気」と画像で示すと、意図が伝わりやすくなります。ただし、AI画像を「この通りに再現して」と求めるのではなく、方向性の参考として渡すのがマナーです。
レイアウトの仮置きに使う
デザイン制作中、写真がまだそろっていない段階で、仮の画像として配置する使い方です。画面全体のバランスを確認できます。公開前に必ず本番の素材に差し替える運用にしておきましょう。仮画像のファイル名に「仮」と付けておくなど、差し替え漏れを防ぐ工夫も有効です。
指示の書き方の例
概念を表すアイキャッチなどを作る場合は、サイトのトンマナを指示に含めると、ほかの画像となじみやすくなります。
- 「業務の見える化をテーマにした記事のアイキャッチ。人物は入れず、明るい青と白を基調にしたシンプルな抽象イメージ。画像内に文字は入れない。横長。」
- 「Webサイトのセクション背景用。淡いベージュの紙のような質感で、模様は控えめ。上に文字を載せても読みやすいよう、コントラストは低めに。」
うまくいった指示文は社内で共有し、テンプレートとして使い回すと、担当者が変わっても画像の雰囲気をそろえやすくなります。
使うと決めたときの品質チェック手順
アイキャッチや背景など、公開する画像に画像生成AIを使う場合は、次の手順で確認します。
- 拡大して細部を見る:人物の手や指、目の向き、背景の文字、物の形状に破綻がないかを確認します。
- 文字が入っていないか確認する:画像内の意味不明な文字は、それだけで品質の低さが伝わります。文字は画像に含めず、後から人が載せます。
- サイトのトンマナと照合する:色味、光の雰囲気、タッチがほかの画像と合っているかを並べて確認します。
- 特定の人物・作品・商標に似ていないか見る:既存の作品や有名人に似ていると感じたら使用を避けます。判断が難しい場合は専門家に相談します。
- 利用規約を確認する:使ったサービスが商用利用を認めているかを、公式情報で確認します。
- 社内でもう一人に見てもらう:作った本人は違和感に気づきにくいため、別の人の目で確認します。
また、同じサイト内でAI画像と実写写真が混在すると、質感の違いが目立つことがあります。どのページにどちらを使うかを、あらかじめ決めておくと統一感を保てます。
まとめ
画像生成AIは、実在性を問われない場面やデザインの検討段階では非常に役立ちます。一方で、社員・製品・実績など「本物であること」に意味がある画像には使わないのが原則です。判断の軸は「見た人が実在するものだと受け取るかどうか」です。
次にやることとして、現在のサイト(または予定しているサイト)で使う画像を一覧にし、上の表に沿って「AIで作ってよい」「撮影・実物が必要」の2つに分類してみてください。それだけで、撮影の計画と画像生成AIの使いどころが明確になります。