デザインレビューの観点|目的・情報・見た目・運用の順で見るチェックシート
デザイン案を確認するとき、見た目の好みから議論を始めていないでしょうか。目的・情報設計・ビジュアル・運用の4段階で見るレビューの観点と、工程ごとの確認ポイント、AIを第二の目として使う方法を解説します。
デザイン案が届くと、まず「色が好き」「写真が暗い」といった見た目の感想から話し合いが始まりがちです。しかし、見た目の議論に時間を使った後で「そもそもこのページで一番伝えたいことが目立っていない」と気づき、大きな手戻りになることがあります。
デザインレビュー(デザイン案を関係者で確認し、修正点を洗い出す作業)は、見る順番を決めておくだけで、効率も精度も大きく変わります。AIで作ったデザイン案が増えた今、整って見える案の中から本当の問題を見つける力は、ますます重要になっています。
この記事では、社内でデザイン案を確認するときの観点を4つの段階に分けて整理し、工程ごとの確認ポイントと、AIをレビューの補助に使う方法を紹介します。
レビューは「大きい問題から」見る
デザインレビューの基本は、修正の影響が大きいものから順に確認することです。目的や情報の並びに問題があれば、色や余白をいくら整えても作り直しになるからです。おすすめの順番は次の4段階です。
| 段階 | 観点 | 代表的な問い |
|---|---|---|
| 1. 目的 | ページの目的が達成できるか | このページを見た人に、次に何をしてほしいかが明確か |
| 2. 情報設計 | 情報の量・順番・優先順位は適切か | 読者が知りたい順番に並んでいるか、不要な情報はないか |
| 3. ビジュアル | 見た目がトンマナに合い、読みやすいか | 目指す印象と合っているか、文字は読みやすいか |
| 4. 運用 | 公開後も維持・更新できるか | 写真や文章を差し替えても崩れないか、更新できる体制があるか |
会議では、この4段階を順番に確認し、前の段階に問題があれば、次の段階の議論はいったん保留にします。これだけで、見た目の好みに関する議論が長引くことを防げます。
4つの段階ごとのチェック項目
1. 目的
- ページの目的(問い合わせ、資料請求、採用応募など)が一つに絞られているか
- 最初に見える画面(ファーストビュー)で、何の会社・何のページかが分かるか
- 目的につながるボタンが、適切な位置と回数で置かれているか
2. 情報設計
- 見出しだけを拾い読みしても、ページの内容が理解できるか
- 読者が抱きそうな疑問(費用、期間、対応地域など)に答える情報があるか
- 同じような情報が重複していないか
- 専門用語や社内用語が説明なしで使われていないか
3. ビジュアル
- トンマナで決めた印象と合っているか、避けたい印象になっていないか
- 色の使い方、書体、余白にページ間でばらつきがないか
- 文字と背景のコントラストが十分か、スマホでも読みやすいか
- 写真やイラストのタッチがそろっているか
4. 運用
- 見出しが長くなったとき、写真が変わったときに崩れないか
- お知らせや実績など、更新するページを社内の誰がどう更新するか決まっているか
- 仮の文章や仮の画像が残っていないか
工程ごとに見るべき範囲を変える
デザインは、ワイヤーフレーム、デザイン案、実装後(実際に動くページ)と段階的に形になります。どの工程で何を確認するかを決めておくと、見るべきでないことに時間を使わずに済みます。
- ワイヤーフレームの段階:目的と情報設計に集中します。色や写真はまだ仮なので、見た目の指摘は控えます。
- デザイン案の段階:ビジュアルを中心に確認します。目的と情報設計がワイヤーフレームから変わっていないかも確かめます。
- 実装後の段階:スマホを含む実機で操作し、表示崩れ、動き、表示速度、運用面を確認します。デザインの大きな変更はこの段階では避けます。
工程が進むほど修正の手間は大きくなります。目安として、ワイヤーフレームでの修正は線を引き直す程度で済みますが、実装後に情報の順番を変えると、デザインとプログラムの両方を作り直すことになります。「デザイン案の段階で情報の順番を入れ替えたい」といった後戻りが起きないよう、前の工程で合意したことを記録しておきましょう。
AIをレビューの「第二の目」として使う
生成AIは、レビューの補助役として役立ちます。人が見落としやすい点を機械的に洗い出してもらい、その結果を人が判断する、という使い方です。
- 「このページのデザイン画像を見て、最初の3秒で読み取れる情報を順番に挙げてください。」
- 「このページの目的は『初めての相談者からの問い合わせ』です。目的に対して不足している情報や、迷いが生じそうな箇所を指摘してください。」
- 「以下は当社のトンマナ整理表です。添付のデザイン案が、この方針から外れている点を挙げてください。」
画像を読み取れるAIであれば、デザイン案の画像を渡して意見を求められます。ただし、AIの指摘には的外れなものや、一般論にすぎないものも含まれます。指摘をそのまま制作者に転送するのではなく、人が取捨選択して、自社の判断として伝えてください。また、未公開のデザインを外部のAIサービスに入力してよいかは、社内ルールや制作会社との取り決めを確認しておきましょう。
レビュー結果のまとめ方
レビューの進め方として、参加者がそれぞれ事前にチェック項目に沿って気づきを書き出し、会議では意見の分かれた点だけを話し合う形にすると、短い時間で深い議論ができます。
会議の後は、出てきた指摘を一覧にまとめます。このとき、すべての指摘を同じ重さで並べるのではなく、次のように分類しておくと、制作側も対応の優先順位をつけやすくなります。
- 必ず直す:目的の達成や情報の正確さに関わるもの、読みにくさなど多くの人が困るもの
- できれば直す:より良くなるが、なくても目的は達成できるもの
- 相談したい:社内でも意見が分かれた点や、制作者の意図を聞きたい点
指摘の数が多いときは、段階1・2の指摘を先に共有し、段階3・4はその修正を待ってから伝えるのも有効です。修正の方向が固まらないうちに細かい指摘を重ねると、制作者が何を優先すべきか分からなくなるためです。また、一覧には「誰の指摘か」ではなく「何が問題か」を書くようにすると、立場による力関係に左右されにくくなります。
まとめ
デザインレビューは、目的、情報設計、ビジュアル、運用の順に、大きい問題から見ていくのが基本です。工程ごとに見る範囲を決め、AIは見落としを減らす第二の目として使い、最終判断は人が行いましょう。
次にやることとして、この記事の4段階のチェック項目を自社用に書き換えて、1枚のチェックシートにしてみてください。次のデザイン案が届いたときに、そのシートを参加者に配ってからレビューを始めるだけで、議論の質が変わるはずです。