AIでサイト制作、よくある誤解7つ|「全部自動」「誰でもすぐ」の落とし穴
「AIに頼めばサイトが完成する」「AIの文章はそのまま使える」など、AIを使ったWeb制作には誤解がつきものです。よくある7つの誤解と、実際にはどう考えればよいかをわかりやすく解説します。
AIを使えばWebサイトが簡単に作れる、という話はよく耳にします。実際、AIの力で制作のハードルは下がりました。しかし、期待が大きすぎると「思ったほどの成果が出ない」「公開してから誤りに気づいた」といった失敗につながります。
特に、初めてAIを使った制作に取り組む会社では、AIに何ができて何ができないのかの見極めが難しいものです。社内で「AIでやれば早いでしょう」と言われ、担当者が板挟みになるケースも少なくありません。
この記事では、AIを使ったWeb制作でよくある7つの誤解を取り上げ、実際にはどう考えればよいのかを整理します。社内で認識をそろえるための資料としても活用してください。
誤解1〜2:「AIに頼めば完成する」「誰でもすぐ作れる」
誤解1:AIに頼めばサイトが丸ごと完成する
AIに指示を出せば、見た目の整ったページを短時間で作ることはできます。しかし、それは「それらしい形」ができたにすぎません。自社の強みが正しく伝わっているか、問い合わせまでの導線が自然か、情報が正確かといった中身の部分は、人が材料を渡し、確認し、直すことで初めて仕上がります。
実際の考え方:AIは完成品を作る道具ではなく、たたき台を速く作る道具です。完成までの時間の多くは、確認と修正に使われると考えておきましょう。
誤解2:知識がなくても誰でもすぐ作れる
ノーコードツールとAIを組み合わせれば、専門知識がなくても作業を進められる場面は増えました。ただし、ドメイン(サイトの住所にあたる独自の名前)の設定、問い合わせフォームの動作確認、スマートフォンでの見え方の調整など、最低限理解しておくべきことは残ります。
実際の考え方:「作業」はAIが手伝ってくれますが、「判断」には基本的な知識が必要です。分からないことをAIに質問しながら学ぶ姿勢があれば、内製のハードルは確実に下がります。
誤解3〜4:「AIの文章はそのまま使える」「AIは最新情報を知っている」
誤解3:AIが書いた文章はそのまま公開してよい
AIの文章は読みやすく整っているため、つい信じてしまいがちです。しかし、AIはもっともらしい誤り(ハルシネーションと呼ばれます)を含むことがあります。存在しない資格名や、事実と異なる数字が紛れ込むことも珍しくありません。
実際の考え方:AIの出力はすべて下書きとして扱い、人が事実確認と編集をしてから公開します。特に数字、固有名詞、法律や制度に関する記述は、原本や公式情報と照らし合わせることが欠かせません。
誤解4:AIは自社のことや最新情報を知っている
AIは学習した時点までの一般的な情報をもとに答えます。自社の商品の仕様、価格、最近の実績などは、こちらから伝えない限り知りません。ウェブ検索機能を持つAIもありますが、検索結果が正しいとは限りません。
実際の考え方:自社に関する情報は、必ずこちらから材料として渡します。「渡した情報以外は書かないでください」と指示に加えておくと、推測による誤りを減らせます。
誤解5〜7:品質・評価・制作会社に関する誤解
誤解5:AIで作ると品質が下がる
逆に「AIで作ったサイトは質が低い」という思い込みもあります。品質を決めるのは、AIを使ったかどうかではなく、目的に合っているか、情報が正確か、使いやすいかです。AIを上手に使えば、比較検討できる案が増え、表記ゆれのチェックなども丁寧にできるため、品質を高めることにもつながります。
実際の考え方:品質の良し悪しは、使った道具ではなく、公開前の確認の丁寧さで決まります。AIで時間が浮いた分を、内容の確認や使いやすさの検証に回すのが理想的な使い方です。
誤解6:AIで作ったサイトは検索エンジンで不利になる
Googleは、コンテンツがAIで作られたかどうかではなく、読み手にとって有用かどうかで評価するという考え方を示しています。一方で、検索順位を操作する目的で大量に生成した低品質なページは、スパムポリシーの対象になり得ます。つまり問題は「AIかどうか」ではなく「中身があるかどうか」です。
実際の考え方:AIを使うかどうかで悩むより、自社ならではの情報や経験が入っているか、読み手の疑問に答えているかを確認するほうが大切です。検索での評価の考え方は専門の記事で詳しく扱っています。
誤解7:AIがあれば制作会社はいらない
AIによって内製できる範囲は広がりましたが、ブランドの設計、複雑な機能の実装、全体の品質管理などは、専門家の経験が活きる領域です。内製と外注のどちらが良いかは、社内の体制とサイトの目的によって変わります。
実際の考え方:「全部社内」か「全部外注」かの二択ではなく、日々の更新や原稿の下書きは社内でAIを使い、設計や重要ページの仕上げは専門家に任せる、といった組み合わせで考えると現実的です。制作会社側もAIを取り入れているため、どこで使っているかを聞いてみるのもよいでしょう。
誤解を防ぐための社内チェックリスト
AIを使った制作を始める前に、社内で次の項目を確認しておくと、誤解による失敗を防げます。
- AIの出力は下書きであり、人が確認してから公開するというルールを関係者で共有したか
- 事実確認の担当者と、最終的な公開判断をする人を決めたか
- AIに渡す自社の材料(会社概要、実績、商品情報など)を準備したか
- 数字、固有名詞、法律に関わる記述は原本と照合する手順を決めたか
- 完成までのスケジュールに、確認と修正の時間を十分に入れたか
- 社内で判断が難しい部分を、誰に相談するか決めたか
これらは特別なことではありませんが、AIによって作業が速くなるほど、確認の手順が後回しにされやすくなります。最初に決めておくことが大切です。特に1と2は、関係者が多い会社ほど口頭ではなく文書にして共有しておくと、後から「聞いていない」という行き違いを防げます。
まとめ
AIを使ったWeb制作でよくある誤解は、AIへの過大な期待と、過小な評価の両方から生まれます。AIは「たたき台を速く作る」道具であり、目的を決め、材料を渡し、事実を確かめるのは人の役割です。
次にやることとして、この記事の7つの誤解を社内の関係者と共有し、チェックリストの6項目について自社の答えを書き出してみてください。認識がそろうだけで、AIを使った制作は格段に進めやすくなります。