FigmaとCanvaのAI機能|Web制作と社内デザインでの使い分け
FigmaとCanvaにはどちらもAI機能が増えています。両ツールの役割の違い、Web制作と社内のデザイン作業での使い分け、制作会社とのデータのやり取りで気をつけたい点を解説します。
「Webサイトのデザインを社内で少し触りたい」「バナーやSNS画像は自分たちで作りたい」と考えたとき、候補に挙がりやすいのがFigmaとCanvaです。どちらもAI機能を積極的に取り入れており、文章からデザイン案を作ったり、画像を加工したりといった作業が手軽になってきました。
ただ、2つのツールは得意分野が異なります。目的に合わないツールを選ぶと、制作会社とのやり取りがスムーズにいかなかったり、社内で使いこなせなかったりします。
この記事では、FigmaとCanvaの役割の違い、AI機能の主な使いどころ、社内で使い分けるときの考え方を整理します。AI機能の内容や提供されるプランは頻繁に変わるため、2026年時点の一般的な情報として読み、最新の条件は各社の公式情報を確認してください。
FigmaとCanvaの役割の違い
まず、両ツールの基本的な位置づけを確認しておきましょう。
| 観点 | Figma | Canva |
|---|---|---|
| 主な用途 | Webサイトやアプリの画面設計、デザインの共同作業 | バナー、SNS画像、資料、チラシなどの作成 |
| 主な利用者 | デザイナー、制作会社、開発者 | 専門外の担当者を含む幅広い人 |
| 操作の考え方 | 部品やレイアウトのルールを細かく設計する | テンプレートを選んで文字や画像を差し替える |
| Web制作との関係 | デザインデータを実装(コーディング)の資料として使う | サイトに載せる画像素材づくりに使うことが多い |
| 非専門家の学びやすさ | 閲覧やコメントは容易、編集には慣れが必要 | 比較的すぐに使い始めやすい |
おおまかには、Figmaは「サイトの設計図をつくる道具」、Canvaは「掲載する素材や販促物をつくる道具」と考えると分かりやすいでしょう。
AI機能の主な使いどころ
Figmaでの使いどころ
Figmaでは、文章の指示から画面のたたき台を作る機能、ダミーテキストを自然な文章に置き換える機能、レイヤー(重なった部品)の名前を整理する機能、デザインから試作品を作る機能などが提供されています。発注者側の担当者にとっては、次のような使い方が現実的です。
- 制作会社から共有されたデザインを閲覧し、コメント機能で修正点を伝える
- 打ち合わせ前に、自分の頭にあるページのイメージをAIでざっくり形にして共有する
- デザイン内の仮の文章を、自社の情報に近い文章に置き換えて見え方を確認する
AIで作った画面案は、あくまで「イメージを伝えるためのラフ」です。そのまま本番のデザインとして使うのではなく、制作会社やデザイナーと話し合う材料にするのが良いでしょう。
Canvaでの使いどころ
Canvaでは、文章からデザインや画像を作る機能、背景の除去や不要物の消去、文章の作成・言い換え、サイズ変更(例えば一つのデザインを複数のSNS向けサイズに展開する)などのAI機能があります。社内担当者が日常的に使いやすいのは次のような作業です。
- お知らせ記事やキャンペーン用のアイキャッチ画像の作成
- 商品写真の背景を整えて、サイトに掲載しやすい形にする
- サイトのバナーをSNS告知用のサイズに展開する
- ブランドの色やロゴを登録して、誰が作っても統一感のある画像にする
社内での使い分けの考え方
中小企業では、両方を全員が使いこなす必要はありません。役割で分けると無理なく運用できます。
- サイトの設計・リニューアル:制作会社がFigmaで作成し、社内担当者は閲覧とコメントで参加する
- 日々の更新用の画像:社内担当者がCanvaで作成する。テンプレートは最初に制作会社やデザイナーに用意してもらうと品質がそろう
- ブランドのルール:ロゴ、色、フォントの使い方を一枚にまとめ、Canvaのブランド設定にも反映する
- 確認の流れ:AIで作った画像や文章は、公開前に担当者以外の人がチェックする
Canvaで素材を作る際のAIへの指示例です。
- 「BtoB向けの業務改善セミナーの告知バナーを作りたいです。落ち着いた青系、文字は大きめ、写真は使わずシンプルな図形中心のデザインで、横長のレイアウト案を出してください。」
- 「この商品写真の背景を白一色にし、商品の影は自然に残してください。」
AIで作ったデザインを確認するチェックリスト
AI機能を使うと短時間で見栄えのよい案が出てきますが、Webサイトや販促物として使えるかどうかは別の話です。公開前に、次の項目を確認する習慣をつけましょう。
- 画像内の文字に、誤字や意味の通らない文字が混じっていないか(画像生成では文字が崩れることがあります)
- ロゴ、ブランドカラー、フォントが自社のルールに沿っているか
- 文字と背景の色の差が十分で、スマートフォンでも読みやすいか
- 人物や商品の見た目が不自然になっていないか、実物と誤解される表現になっていないか
- 掲載する場所に合ったサイズ・比率になっているか
- 他社のデザインやキャラクターに似すぎていないか
特に、AIで加工した商品写真は、実物より良く見えすぎていないかに注意が必要です。表示の妥当性に不安がある場合は、社内の確認者や専門家に相談してください。
制作会社とやり取りするときの注意点
ツールを使うようになると、制作会社とのデータのやり取りも増えます。次の点を事前に確認しておくと、後々のトラブルを防げます。
- デザインデータの共有範囲:Figmaのファイルを納品物に含めるのか、閲覧のみなのかを決めておく
- アカウントの持ち主:ファイルが制作会社のアカウントにあると、契約終了後に見られなくなる場合があります。自社のチームに移すかどうかを相談しましょう
- AI機能の利用設定:社外秘の資料をデザインに含める場合、AI機能でデータがどう扱われるかを、法人向けプランの設定などで確認する
- 素材の利用条件:Canvaのテンプレートや素材、AIで作った画像を、サイトや広告で使う際の条件を確認する
素材の権利やデータの取り扱いの詳細は、リスクを扱う記事で詳しく説明しています。判断に迷うときは専門家に確認してください。
まとめ
Figmaはサイトの画面設計と共同作業、Canvaはサイトに載せる素材や販促物の作成に強みがあり、どちらにもAI機能が加わっています。社内担当者は、Figmaは閲覧とコメントで参加し、日々の画像づくりはCanvaで行う、という役割分担から始めると無理がありません。
まずは、社内で発生しているデザイン作業を「サイトの設計」と「日々の素材づくり」に分けて書き出してみてください。そのうえで、どちらのツールで誰が担当するか、AIで作ったものを誰が確認するかを決めましょう。