ChatGPT・Claude・Geminiの使い分け|Web制作の工程ごとに考える
ChatGPT・Claude・Geminiのどれを使うべきか迷う方へ。優劣ではなく、Web制作の工程と社内の環境から使い分けを考える方法と、試し比べの手順を紹介します。
「ChatGPTとClaudeとGemini、結局どれを使えばいいのか」という相談は、Web担当者からよく聞かれます。比較記事を読んでも、数か月後には機能が変わっていて結論が当てにならない、ということも少なくありません。
大切なのは「どれが一番か」ではなく、「自社のどの作業に、どのAIを、どんな条件で使うか」を決めることです。この記事では、対話型AI(チャット形式で質問や指示ができるAI)をWeb制作の工程ごとに使い分ける考え方と、自社で試し比べるときの手順を紹介します。特定のサービスをランキングするものではありません。
なお、各サービスの機能やプランは頻繁に変わります。本記事の内容は2026年時点の一般的な情報です。最新の条件は各社の公式情報を確認してください。
使い分けを考える前提:3つとも「汎用」である
ChatGPT(OpenAI)、Claude(Anthropic)、Gemini(Google)は、いずれも文章作成、要約、アイデア出し、コードの説明、画像やファイルの読み取りなど、幅広い作業に対応する汎用の対話型AIです。どれか1つしかできない作業は、実はそれほど多くありません。
そのため、使い分けの判断軸は「性能差」よりも次のような実務的な条件になります。
- 社内で普段使っているツール(Google Workspace、Microsoft 365 など)との連携のしやすさ
- 会社として契約できるプランがあり、データの扱いを管理できるか
- 長い資料を一度に読み込ませたいか、短いやり取りが中心か
- 担当者が使い慣れていて、出力の癖を把握しているか
同じ指示でも、AIによって文章の言い回しや構成の出し方には癖があります。この癖は「好み」の要素も大きく、担当者が試して決めるのが一番確実です。
なお、どのAIを選んだ場合でも、業務で使うなら「入力した内容がAIの学習に使われるかどうか」の設定や、会社として契約できるプランの有無を最初に確認しておくと、後から使い方を見直す手間が減ります。詳しい観点は法人プランを扱う記事で整理しています。
Web制作の工程ごとに見る使いどころ
Web制作の工程を大まかに分けると、AIに任せやすい作業とそうでない作業が見えてきます。下の表は、工程ごとの主な使い方と、選ぶときに見るポイントの目安です。
| 工程 | AIに頼みやすい作業 | 選ぶときに見るポイント |
|---|---|---|
| 企画・要件整理 | 目的の整理、競合比較の観点出し、質問リスト作成 | 対話を重ねて考えを深めやすいか |
| サイト構成 | サイトマップ案、ページごとの役割整理 | 長い前提情報を読み込ませやすいか |
| 原稿作成 | 見出し案、下書き、言い換え、要約 | 日本語の自然さ、トーンの指示の通りやすさ |
| デザイン相談 | 参考画面の読み取り、改善点の洗い出し | 画像やPDFの読み取りに対応しているか |
| 実装・修正 | コードの説明、エラーの原因の推測 | コードの説明が平易か、専用ツールと併用するか |
| 運用・改善 | アクセス解析の数字の読み解き補助、改善案 | 表やCSVを扱いやすいか、社内データとの連携 |
どの工程でも、AIの出力はたたき台です。事実関係や数字、自社の方針に合っているかは、必ず人が確認・編集してから使ってください。
使い分けの代表的なパターン
パターン1:メイン1つ+サブ1つ
普段使うAIを1つ決め、もう1つを「セカンドオピニオン」として使う方法です。例えば、原稿の下書きはメインで作り、構成の抜け漏れチェックだけサブに頼む、といった形です。異なるAIに同じ問いを投げると、見落としに気づきやすくなります。中小企業ではこの形が最も現実的です。
パターン2:社内環境に合わせて選ぶ
社内でGoogle Workspaceを使っているならGeminiとの連携、Microsoft 365中心ならその環境で使えるAI機能、というように、既存の業務ツールとの相性で選ぶ考え方です。ファイルの受け渡しが減り、社内展開もしやすくなります。
パターン3:作業の性質で分ける
長い資料の読み込みや文章の推敲はこのAI、画像を使った相談はこのAI、というように作業の性質で分ける方法です。ただし、使うツールが増えるほど管理の手間とコストが増えます。担当者が明確な理由を説明できる場合に限るのがおすすめです。
自社で試し比べる手順
ネットの評判よりも、自社の実際の作業で試すほうが確実です。次の手順で、1〜2週間程度を目安に比較してみてください。
- 比較したい作業を3つ選ぶ(例:会社概要文の下書き、サービスページの見出し案、問い合わせフォームの項目整理)
- 各作業で使う指示文(プロンプト)を1つに統一する
- 機密情報や個人情報を含まないサンプル素材を用意する
- 同じ指示を各AIに入力し、出力を保存する
- 「そのまま使える度合い」「修正にかかった時間」「指示の通りやすさ」を3段階で評価する
- 担当者2名以上で評価し、好みの偏りを減らす
- 結果をもとに、メインとサブ、使う工程を決めて社内に共有する
比較に使う指示文の例です。
- 「あなたはBtoB企業のWeb担当者です。次の会社情報をもとに、コーポレートサイトの会社概要ページの導入文を200字程度で3案作ってください。誇張表現は避け、事実として書かれていない内容は加えないでください。」
- 「次のサービス説明を読み、サービス紹介ページのh2見出し案を6つ出してください。それぞれ、そのセクションに書くべき内容も一行で添えてください。」
使い分けで失敗しやすいポイント
使い分けを始めた会社で起こりがちなつまずきを挙げます。
- 個人の無料アカウントがばらばらに増える:誰がどのAIに何を入力したか分からなくなります。業務で使うサービスとアカウントの種類は会社として決めましょう。
- 出力の比較だけで決めてしまう:1回の出力は偶然の要素もあります。複数回試し、修正の手間まで含めて評価します。
- 最新情報を追いかけすぎる:新機能が出るたびに乗り換えると、ノウハウが社内に溜まりません。見直しは半年に1回程度など、時期を決めると落ち着きます。
- 確認の工程を省く:どのAIでも、もっともらしい誤りを出すことがあります。公開前の事実確認と編集は省かないでください。
まとめ
ChatGPT・Claude・Geminiは、どれも幅広い作業をこなす汎用AIです。使い分けは性能の優劣ではなく、社内環境、契約できるプラン、作業の性質、担当者の慣れで決めるのが現実的です。
まずは、自社の実際の作業を3つ選び、同じ指示文で試し比べるところから始めてください。そのうえでメインとサブを決め、どの工程で使うかを一枚の表にして社内に共有すると、使い方が属人化しにくくなります。