「AI活用」をうたう制作会社の見極め方|商談で聞きたい質問リスト
「AIで速く・安く作れます」という制作会社は本当に信頼できるのか。商談で確認したい質問と、回答から読み取れるポイント、注意したいサインを、そのまま使える質問リストの形で紹介します。
最近は「AI活用で短納期・低価格」「AIを使った次世代のWeb制作」といった言葉を掲げる制作会社が増えています。AIを上手に使えば作業の効率は上がるため、発注者にとって魅力的な提案であることは確かです。
一方で、「AI活用」という言葉だけでは、実際に何をしているのかはわかりません。AIの出力をほとんど確認せずに納品していたり、権利や情報管理への配慮が不十分だったりすれば、公開後に困るのは発注者です。この記事では、AI活用をうたう制作会社を商談の場で見極めるための質問と、回答の読み取り方を紹介します。質問リストはそのまま商談に持ち込めるようにまとめました。
なぜ「AI活用」の中身を確かめる必要があるのか
生成AIは、文章や画像、コードのたたき台を短時間で作れる便利な道具です。しかし、もっともらしい誤りを含むことがあり、他者の作品に似た出力が生まれる可能性もゼロではありません。だからこそ、AIをどこで使い、出力を誰がどのように確認しているかが、制作会社の品質を左右します。
また、AIサービスに入力した情報の扱いは、サービスや契約プランによって異なります。発注者が渡した社内資料や顧客情報が、どのような環境で扱われるのかも確認しておきたいポイントです。AIを使うこと自体の良し悪しではなく、「使い方と管理の仕方」を見るのが見極めの基本です。AIをまったく使わない会社が劣っているわけでも、積極的に使う会社が優れているわけでもありません。自社の要望や予算に合った使い方をしているかどうかで判断しましょう。
商談で聞きたい質問リスト
次の質問を、商談や提案依頼の際に投げかけてみてください。回答のしかたから、その会社の実力や誠実さが見えてきます。
| 質問 | 信頼しやすい回答の傾向 | 注意したい回答の傾向 |
|---|---|---|
| どの工程でAIを使っていますか | 工程ごとに具体的に説明できる | 「全部AIでやります」など大ざっぱ |
| AIの出力は誰がどう確認していますか | 担当者や確認手順が決まっている | 「AIなので正確です」と確認を省く |
| 原稿の事実確認はどうしていますか | 発注者への確認や出典の確認を工程に組み込んでいる | 確認の工程が見積もりに含まれていない |
| AIで作った画像や文章の権利はどう扱いますか | 利用するサービスの規約を確認し、リスクと対応を説明できる | 「AIで作ったので問題ありません」と言い切る |
| 当社が渡した資料をAIに入力しますか | 入力する範囲と、利用するサービスの設定や社内ルールを説明できる | 情報管理について答えられない |
| AI活用で、費用や納期はどう変わりますか | どの工程がどれくらい短くなるかを根拠とともに示せる | 根拠なく大幅な値下げや短納期を約束する |
| AI活用の社内ルールはありますか | 利用ルールや研修があり、内容を説明できる | 個々のスタッフに任せきり |
| AIを使わない部分はどこですか | 人が担う工程とその理由を明確に答えられる | 人が関わる部分の説明があいまい |
回答を聞くときのコツ
質問の答えが完璧かどうかより、具体的に、正直に答えようとしているかを見ることが大切です。例えば権利の質問に対して「現時点では法的な解釈が定まっていない部分もあるため、当社ではこうした対応をしています」と率直に説明できる会社は、リスクを理解していると考えられます。逆に、何を聞いても「大丈夫です」としか返ってこない場合は、慎重に判断したほうがよいでしょう。
提案書や見積書で確認したいサイン
商談だけでなく、提案書や見積書からも、AI活用の実態はある程度読み取れます。次の点をチェックしましょう。
- 見積書に、原稿の確認や修正、品質チェックの工程が含まれているか
- 過去の制作実績が具体的に示され、その品質に納得できるか
- スケジュールに、発注者の確認期間が現実的に確保されているか
- AI活用で削減される費用と、人が担う費用の内訳がわかるか
- 納品物や権利の扱いについて、契約書の案が示されるか
極端に安い価格や短い納期だけが強調され、確認の工程が見えない提案は注意が必要です。公開後に誤った情報や品質の問題が見つかった場合、修正の手間や信頼の低下という形で、結局は発注者がコストを負うことになります。
実際の進め方を見せてもらう
説明だけでは判断がつかない場合は、実際の作業の進め方を見せてもらうのも有効です。例えば、AIで作った原稿のたたき台と、人が確認・修正した後の完成版を並べて見せてもらえば、どの程度の手を入れているのかがよくわかります。たたき台から大きく書き直されていれば、人の確認がしっかり機能していると判断できます。
また、公開後の運用についても確認しておきましょう。AIで作ったページは、公開後に情報が古くなったり、誤りが見つかったりすることがあります。修正の依頼から対応までの流れや、保守契約に含まれる範囲を聞いておくと、長く付き合える会社かどうかの判断材料になります。発注者側でAIを使って更新を続けたい場合に、その方法を教えてもらえるかどうかも、確認しておきたい点です。
見極めの進め方
複数の制作会社を比較する場合は、次の手順で進めると判断がぶれにくくなります。
- 上の質問リストから、自社にとって重要な質問を5つ程度選ぶ
- 候補のすべての会社に、同じ質問を同じ順番で投げかける
- 回答を記録し、具体性・正直さ・自社の要望との合致度で評価する
- 気になった回答について、追加で質問するか資料を求める
- 評価結果を社内で共有し、金額とあわせて総合的に判断する
回答の記録をAIで整理するのも一つの方法です。例えば「以下は3社の商談メモです。工程ごとのAI活用、確認体制、情報管理、権利の扱いの4つの観点で表に整理し、回答があいまいな箇所を指摘してください」と頼むと、比較がしやすくなります。商談メモに機密情報が含まれる場合は、社内のAI利用ルールを守って扱いましょう。整理した結果は、人が元のメモと照らし合わせて確認してください。
まとめ
AI活用をうたう制作会社を見極めるポイントは、AIを「使っているかどうか」ではなく、「どこで使い、誰がどう確認し、情報や権利をどう管理しているか」です。具体的に、正直に説明できる会社は、発注者と同じ目線でリスクを考えられるパートナーになり得ます。
次の商談の前に、質問リストから自社にとって重要な5つを選び、すべての候補会社に同じ質問をしてみましょう。回答を記録して比べるだけで、価格だけでは見えない違いがはっきりします。