Web制作のRFP(提案依頼書)の書き方|AIで下書きして伝わる形に整える
制作会社から的確な提案と見積もりを引き出すためのRFP(提案依頼書)の書き方を解説します。盛り込むべき項目、AIで下書きするときの頼み方、送る前の確認ポイントまで紹介します。
制作会社に相談するとき、「いい感じのサイトを作りたい」と口頭で伝えるだけでは、各社がそれぞれの解釈で提案を作るため、内容も金額もバラバラになってしまいます。比較しようにも前提が違うので、判断ができません。
そこで役立つのがRFP(Request for Proposal:提案依頼書)です。発注者が「何のために、何を、いつまでに、どのくらいの予算で作りたいか」をまとめた文書で、複数社に同じ条件で提案を依頼するための土台になります。大企業だけのものと思われがちですが、数ページのサイトでも、A4数枚の簡単なRFPがあるだけで提案の質は大きく変わります。
この記事では、中小企業がWeb制作を発注するときのRFPの項目と書き方、AIを使って下書きを効率よく作る方法、送付前に確認したいポイントを紹介します。
RFPを作るメリット
RFPを用意する最大のメリットは、各社の提案を同じ物差しで比べられることです。さらに、次のような効果もあります。
- 社内の関係者で目的や優先順位をすり合わせるきっかけになる
- 制作会社が要望を正確に理解でき、見当違いの提案が減る
- 打ち合わせのたびに同じ説明を繰り返す手間が省ける
- 発注後に「言った・言わない」のトラブルが起きにくくなる
- 社内稟議の資料として、そのまま背景説明に使える
完璧な文書を目指す必要はありません。決まっていないことは「未定」「相談したい」と書いておけば、制作会社がその部分を提案してくれます。わからないことを正直に書くほうが、むしろ的確な提案につながります。
RFPに盛り込む基本項目
Web制作のRFPでは、次の項目を押さえておくと十分です。
| 項目 | 書く内容の例 |
|---|---|
| 会社概要 | 事業内容、従業員数、主な顧客層 |
| 背景と課題 | 現サイトの問題点、なぜ今作る(作り直す)のか |
| 目的と目標 | 問い合わせを増やす、採用応募を増やすなど。可能なら数値の目安 |
| ターゲット | 誰に見てほしいか、その人が知りたいこと |
| サイトの範囲 | 想定ページ構成、必要な機能、更新したいページ |
| 素材の用意 | 原稿・写真・ロゴを社内で用意できるか、依頼したいか |
| スケジュール | 提案締切、発注予定日、公開希望日とその理由 |
| 予算 | 上限や想定の幅。初期費用と月額費用の希望 |
| 公開後の運用 | 更新担当者、保守を依頼したい範囲 |
| 提案してほしい内容 | サイト構成案、デザインの方向性、体制、見積もり、AI活用の方針など |
| 選定方法 | 評価の観点、選定スケジュール、問い合わせ窓口 |
予算は書いたほうがよいのか
予算を書くと上限いっぱいの見積もりが来るのでは、と心配する方もいます。しかし、予算がわからないと制作会社は提案の規模を決められず、実現できない豪華な案や、逆に物足りない案が出てくることになります。「〇〇万円程度を想定。内容によっては相談可」のように幅を持たせて書くと、予算内で何ができるかの提案を受けやすくなります。
AIでRFPの下書きを作る手順
RFPの作成は、生成AIが得意とする「整理と文章化」の作業です。次の手順で進めると、短時間で下書きが作れます。
- 社内の関係者に、サイトへの要望や現状の不満を箇条書きで出してもらう
- 集めたメモをまとめてAIに渡し、上の表の項目に沿って整理してもらう
- AIが埋められなかった項目、あいまいな項目を確認し、社内で決める
- 決めた内容を反映して、AIに文章として整えてもらう
- 人が全体を読み、事実と違う点や書きすぎた点を修正する
手順2の頼み方の例としては、「以下は当社のWebサイトリニューアルについて社内から集めた意見です。会社概要、背景と課題、目的、ターゲット、サイトの範囲、素材、スケジュール、予算、運用、提案してほしい内容の項目に分類し、RFPの下書きを作ってください。情報が足りない項目は空欄にせず『要確認』と書き、確認すべき質問を添えてください」といった指示が使えます。
AIは足りない情報をもっともらしく補ってしまうことがあります。「要確認」と書かせるように指示しておくと、勝手な想像で埋められるのを防げます。また、社外秘の売上データや顧客の個人情報は入力しないなど、社内のAI利用ルールに従って使いましょう。
RFPでよくある失敗
下書きができたら、次のような失敗に当てはまっていないかも見直しておきましょう。
- 要望を詰め込みすぎて、何を最優先にしたいのかが伝わらない
- 「おしゃれに」「わかりやすく」など、人によって解釈が分かれる言葉だけで書いている
- 参考にしたいサイトを挙げているが、どこを参考にしたいのかが書かれていない
- デザインや機能の細部まで指定しすぎて、制作会社が提案する余地がない
- 現在のサイトの課題が書かれておらず、なぜ作り直すのかが伝わらない
例えば「おしゃれに」と書く代わりに、「初めて訪れた取引先の担当者が、事業内容と実績を1分程度で把握できるようにしたい」と、見る人と場面を具体的に書くと、制作会社は提案の方向性を定めやすくなります。参考サイトを挙げる場合も「色づかいが好き」「事例の並べ方が見やすい」など、理由を一言添えるのがコツです。
送る前に確認したいチェックリスト
完成したRFPは、送付前に次の点を確認します。
- 目的が一文で書かれており、関係者全員が合意しているか
- 必須の要件と、できれば欲しい要望が区別されているか
- 公開希望日の理由が書かれているか(動かせない日かどうかが伝わるか)
- 素材を誰が用意するかが明確か
- 提案書に含めてほしい内容と、提出形式・締切が書かれているか
- AIが作った文章に、事実と異なる記述や誇張が残っていないか
- 社外に出してはいけない情報が含まれていないか
複数社に送る場合は、すべての会社に同じRFPを送り、質問への回答も全社に共有すると公平です。質問の受付期間を設けておくと、やり取りが整理しやすくなります。
まとめ
RFPは、制作会社から比較しやすい提案を引き出し、発注後のすれ違いを防ぐための文書です。会社概要、背景と目的、ターゲット、範囲、素材、スケジュール、予算、運用、提案してほしい内容を押さえれば、中小企業の案件でも十分に機能します。AIは社内の意見を整理して下書きを作るのに役立ちますが、足りない情報は「要確認」とし、最終的な内容は人が確かめてください。
まずは社内の関係者から要望を集め、上の表の項目に沿ってAIで下書きを作ってみましょう。空欄や「要確認」になった項目こそ、発注前に社内で決めておくべき論点です。